はい、どうもアバターです。
今日はお金の流れでわかる世界の歴史、これをやっていきます。
時系列でどこで何が起こったのかというように、普通に歴史を追っていくのも面白いのですが、マネー視点で見てみますとね、これまた全然違うテイストで、違う楽しさが味わえます。
特に社会に出て、人間の愚かさ、汚さ、醜さというものを一通りね、味わい切った大人たちに特におすすめですね。
文章が分かりやすいので、歴史が苦手だという人も、この本は最後まで楽しめると思います。
富や権力を際限なく欲しがる人間の本質、人間の欲望が何百年も続く、素晴らしい文化を作っていく、でも結局はまたその欲望によって壊れていく。
歴史というのは結局この繰り返しなんだなというのが、この本を読むとよくわかります。
そして、そんな壮大でありながらも儚い人類の栄枯盛衰を語ってくれているのは、元国税調査官の大村大次郎さん。
もちろんこの方、ただの国税調査官ではありません。国税のお仕事をする傍ら、歴史ライターとして30冊以上の歴史本を書かれている方なんです。
そして本書で大村さんはこう言います。
「本当に歴史を動かしているのは政治でもない、戦争でもない、金です。」
どうでしょうか。なんかきな臭い感じしてきますよね。
さてそんなわけで、そろそろいきましょうか。
マネーのプロが語る人類の歴史とは何なのか、現代の全ての大人たちが知っておくべき教養がここにあります。大村大次郎「お金の流れでわかる世界の歴史」
まずこの本がいつからいつまでの時代を扱っているのかと言いますと、なんと古代から現代まであります。
こんな壮大な物語を正直、全部解説していきますと間延びしちゃいますので、掻い摘んでやっていきますね。
ではまず第一章のエジプト、ここから見ていきましょう。
おそらく多くの方はエジプト文明という言葉は聞いたことあると思います。
世界4大文明のひとつですよね。すごく栄えていたわけであります。古代エジプトがなぜ3000年もの長きにわたり栄えることができたのかといいますと、
ま、これ諸説あるんですが、ナイル川が定期的な氾濫を起こすことで肥沃な土があたりに運ばれたから、あるいは砂漠地帯なので、他民族の侵攻を受けにくかったから、
なんて言われることがあります。でも古代エジプト文明が滅びたということは全然だめだめだったんですよね。
大地は肥沃なままなんですけど、結局は他民族から攻められたりして、なかなか平穏な時代を築くことができなかったんですね。
となりますと、なぜ古代エジプト文明は3000年も栄えることができたわけかと、そういう疑問が自然と湧いてきますよね。
ここで著者の大村さんは古代エジプトの徴収システム、つまり税金の取る仕組みにあるんじゃないのと注目したわけであります。
実は、この税金を取る徴収という行為は、ハンパじゃなく大変だと大村さんは言われてるんですね。
ま、どういうことかと言いますと、税金が少ないと国は維持できないし、税金が高いと国民が不満を漏らしたり、暴れたりする。また、税金のかけ方が不公平だと民の不満にもつながるし、
うまく徴収ができなかったらできなかったで国家は維持できない。
つまり、徴収システムの整備と国民生活の安定、この二つのバランスを保つことが、国家の安定維持には非常に重要なんだけれども、徴税自体はすんごい大変だということなんですね。
さ、そんな中ですね、古代エジプトはどうだったかといいますと、
その両者のバランスを取ることがとってもうまかった。
具体的に言いますと、古代エジプトでは中央政府が国の全ての行政権、そして徴税権を持っていたんですね。
で、徴税権を実際に行っていたのが施主と呼ばれる下級官僚、この施主と呼ばれる下級官僚たちは、国からお給料をもらって官僚の仕事としてお給料をもらっていました。
ま、いわゆる公務員としてのお仕事ですね。
別にこれは今の時代で言えば全然普通のことと言えます。
ところがですね、中世までは徴収する人というのは請負制によるものが多かったと言われているんです。
どういうことかといますと、国から徴収権という権利を買って、税を取り立てる仲介人がいたんですね。
NHKの集金もね、別にNHKの職員じゃない人もやるじゃないですか。
それと同じでお国の人じゃない、官僚じゃない仲介役人みたいな人が税を取り立てにやってくるそんなことが中世では当たり前だったということです。
このシステムは一見合理的に見えるんですが、実は大きな落とし穴がありまして、税を多く取り立てれば取り立てるほど、自分の収入が増えていく仕組みになっているんですね。
そうなりますと、余計に税金を取り立てる悪い奴がでてくる。通称、悪代官ですね。
でも古代エジプトはそうではなかった。徴税役人が私腹を肥やさないようなモニタリング機関もありましたし、万が一見つかれば鼻を切り落としてアラビアに追放するというお達しが王様から出ていたんですね。
まあ怖いルールですけども、これが秩序を保つ上でのルールでした。
ところが永遠には続かないのが人類の歴史でございます。
必ず栄えれば滅びるときがやってくる。
大村さんは世界中の歴史を見ていったときに、国の栄枯盛衰には一定のパターンがあると言われます。
つまり徴税が上手くいっている時は国が栄える、ところが役人たちが徐々に腐敗していき私腹を肥やし始めると、国家財政が傾いていく。
それを立て直すために重税が国民に課せられる。その結果国民の不満が爆発し崩れていく。
もちろん全てではありませんが、経済という視点で歴史を見た時に、国や文明が滅びていく王道パターンがこれだと言っているんです。
そして、古代エジプトはこの王道のど真ん中をいって滅んでしまったんだということなんです。
やはり徴税役人たちはあの手この手を駆使して王様の目を盗んでは、私腹を肥やす術を覚え始めていくんですね。
そのしわ寄せは当然国民にくる。重税がどんどん国民の生活を苦しめ始めます。
前のコンテンツ「ユダヤの商法」の後編でモーセの出エジプトでやりましたけど、まさにあのタイミングはエジプトが腐敗しまくっていた時代だったと言われています。
ユダヤの民がエジプトに移住してきて普通に暮らしていたらファラオによって奴隷にされてしまったという話がありましたけど、
一説によれば、ユダヤの民が税金を払うことができなくなってしまったことが原因ではないかという話もあるんです。
紀元前1600年くらいの話なんですが、こんな時代から人類は税金というものに苦しめられてきたという歴史があるんですね。
さて、徐々に国家としての存在が危ぶまれるなか、古代エジプトではある宗教団体がめきめきと力をつけていきました。
それがアメン神殿だったのですが、王の権力の低下とともに力をつけていったんです。
実はこの団体、宗教団体という位置づけですので、税金が免除される仕組みになっていました。
[続く]